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仮釈放の仕組み,3ピンとか4ピンって何?

執行猶予が付かないで実刑判決を受け,刑務所での服役が確定したとき,また家族が懲役刑を受けた時にどうしても気になるのが,「仮釈放」です。

この仮釈放に関しては,3ピン4ピン等という言葉が飛び交うことがあります。この「〇ピン」とはどういう意味なのでしょう。仮釈放の制度そのものと併せて解説します。




仮釈放の仕組み

仮釈放とは,刑法28条に定められた釈放の手続きのことです。

懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。

簡単に言うと,懲役刑や禁錮刑を受けている人を,途中で釈放しますよ,という制度です。

どうしてこのような制度があるのかというと,

①懲役刑や禁錮刑を受けている中で反省が深まった人に対しては早期に社会復帰できるという希望を与えるべきであるし,

②社会に戻るための準備期間が必要だ

という考えからあるのです(条解刑法67頁)。

この仮釈放とは「仮」と付いている通り,仮釈放期間中も「受刑者」であることには変わらず,仮釈放期間中に問題を起こしてしまうと,仮釈放が取り消され再び刑事施設に収容されてしまうことになります。

誰が決める?

仮釈放を判断するのは,地方更生保護委員会です。

全国に8つあり,札幌,仙台,さいたま,名古屋,大阪,広島,高松,福岡に設置されています。

8つの委員会が各地域を管轄し,管轄地域内の刑務所の受刑者に対して仮釈放をするかどうかを個別に審査します。

この審査は,受刑者から申告して行われるものではなく,各刑務所の所長がそれぞれの刑務所の受刑者の中から,「この者は仮釈放の審査にかけてもいい」という人を選んで地方更生保護委員会に推薦する形となります。この推薦を受けて,地方更生保護委員会での審査が始まるのです。

いつから仮釈放される?

仮釈放が法律上認められるのは,刑期全体の3分の1(約33%)が過ぎてからです。

この刑期の計算が難しいのですが,「判決で言い渡された刑期から未決勾留日数を引いた」刑期の3分の1を過ぎてからとなります。

次のような例を置いておきます。

判決:懲役3年6月 未決勾留日数180日

この場合の仮釈放を考えてみます。未決勾留日数が180日あるので,3年6月から差し引き,残った3年について3分の1が過ぎてからは法律上仮釈放が出来ることになります。

事例の場合だと,刑が始まってから1年たつと,仮釈放が可能となります。

無期懲役の場合には,一律に「10年」経ってからとなります。

仮釈放されるとどうなる?

仮釈放が認められると,刑務所から出所することになります。出所してから,本来の懲役刑の満期までの間は,保護観察を受けることになります。この仮釈放中の保護観察を受けている間も,刑期に算入されることになり,本来の刑の満了期間を迎えれば,保護観察も終了することになります。

保護観察期間中に,逃亡をしたり,新たに罪を犯して有罪判決を受けたりしてしまった場合には,この保護観察が取り消されてしまいます。

それのみならず,保護観察期間中の期間は刑期に算入されないことになり,正規の期間,残りの懲役刑を受けなければなりません。仮釈放中は,絶対に問題のないように気を付けて生活しなければならないのです。

どんな人が認められる?

仮釈放が認められるのは,「改悛の状があるとき」とだけ定められています。

難しい日本語なのですが,簡単に言うと,「深く反省している時」です。これだけでは基準として不明確なので,より具体的な基準として,

①悔悟の情(犯罪を悔いて深く反省していること)と,更生の意欲があって

②再犯の恐れがなく

③保護観察をつけることで更生することが望ましいと言える場合

④ただし,社会の感情が仮釈放を許さないときは認められない

とされています。

特に④については,起こしてしまった犯罪そのものが当時社会にどのような影響を与えたか,被害者のいる犯罪であれば示談ができているかどうか,が重要になります。裁判が終わった後でも,示談ができているのであれば,より仮釈放を認めやすい事情です。




保釈とは違うの?

逮捕後されてからすぐの釈放や,保釈のことを「仮釈放」と思われている方もいますが,これらは別々のものです。

仮釈放とは,裁判が終わって実刑判決を受けた後に刑務所から出所する際の手続きのことです。

一方,単なる釈放や保釈は,裁判が終わる前に一時的な帰宅を許されたという状態です。

裁判の前か後かという点で,全く異なるものなのです。

https://kagaisya-kousei-higaisya-lawyer.com/for-offenders/taiho-kouryuu-kiso-dounaru/

3ピンとか,4ピンって何?

さて,冒頭の3ピン,4ピンについてです。

これは,実際に仮釈放が認められるまでの期間の長さと,刑期全体の割合を指していう言葉です。

3ピンとは,仮釈放の期間が刑期全体の3分の1であることをさし,

4ピンとは,仮釈放の期間が刑期全体の4分の1であることを言います。

「〇ピン」の〇の数字が大きくなるほど実際に服役する期間が長くなるということです。

最近の犯罪白書等を見ると,仮釈放が認められるまでの服役期間は長くなっている傾向にあります。

2015年の数値で見ると,仮釈放が認められた人の中では,「刑が80~90%終了してから仮釈放となった人」が最も多く,全体の約45%でした。

その次に多かったのが「刑が90%以上終わってから仮釈放となった人」で,これも全体の約35%です。

つまり,仮釈放が認められた人の8割以上は,「刑期の80&以上が経ってから」ということになります。

これを先ほどの言い方で言うと,ほとんどの人が「4ピン」となります。

一昔前(2005年頃)は,刑期が70~80%終わった段階で仮釈放となる人もいたようで,更にさかのぼって1990年頃になると,さらに短い服役期間でも仮釈放が認められていた時代があったようです。

その頃の感覚だと,「3ピン」(刑期の66%を過ぎたあたりで仮釈放の見込みができる)のでしょうが,現在では「3ピン」で仮釈放が認められることはあまりなく,ほとんどは「4ピン」前後となっているようです。

仮釈放を求めるためには?

仮釈放を得るためには,刑務所長から地方更生保護委員会に対して,仮釈放のための審査に出してもらわなければなりません。

自分で手を挙げて地方更生保護委員会に行っても,全く審査してもらうことはできません。

裁判が終わってからでも,仮釈放を求めるために弁護士が活動できる場合があります。担当した検察官や服役している刑務所長への働きかけ,被害者のいる事件であれば示談交渉などの結果が,早期の仮釈放につながる場合があります。

家族や知人が受刑中で早期の仮釈放を求めたいというかたも,一度弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

第二東京弁護士会所属弁護士
足立直矢
東京を中心に刑事事件をのみを取り扱う弁護士事務所に所属。 刑事事件全般を得意として裁判員裁判事件,否認事件,少年事件,外国人事件など取り扱い経験は多岐にわたる。裁判に留まらず,判決が出た後の更生支援まで含めた弁護を目指している。